『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

「だんなさまは、すぐおこります! だんなさまは、すぐおこります!」

 その時、レックスがきゃっきゃと楽しそうに言いながら、大好きな父親のもとにやってきた。彼は使用人たちの列に混じって一緒に復唱をしていたのだ。

「レックス〜……」

 ハロルドは残念そうに眉を下げる。そしてひょいと息子を抱き上げた。

「駄目だぞ。お母様の真似をしたら」

「でも、おとうさまは、『おかあさまのいうことを、ききなさい』って、いつもいってるよ!」

「それとこれとは話が別だ」

「?」

「はぁ……」

 ハロルドは深くため息をつく。教育とはなんと難しいのもだと頭を抱えた。

「旦那様、大丈夫ですかぁ〜?」

「誰のせいだと思っている」

「さぁ?」

「はぁ……」

 またぞろ大きなため息。夫婦関係というものも、()に難しきものかな。

「いいか、お前たち。ドラゴンの件は私が何とかする。だから、騒動が収まるまでは徹底的に彼を隠してくれ。『我々は、タッくんを全力で守ります』! はいっ!」

「「「我々は、タッくんを全力で守ります!」」」

「よろしい」

 捜索隊は今日も稼働している。だがドラゴンは現れない。きっと時間が解決してくれるはずだ。

 もし国王が執着するようなら、巨大動物を捕まえて、城の照明によってドラゴンが飛んでいるように錯覚したと、結論付けよう――と、彼は考えていた。


 しかし、ハロルドの計画は虚しく消え失せてしまう。

「ぼくの、おやしきには、ドラゴンがいるんだい!」

 レックスが、喋っちゃったのだ。


 
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