『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





「――と、いう訳ですわ。旦那様」

「っつ…………」

 ハロルドは頭を抱えた。とてつもないストレスで、脳が爆発しそうだった。

 まさか子供(レックス)が口を滑らせるとは……。
 「人に見つかったらタッくんとお別れすることになるぞ」と、あんなに口を酸っぱくして言い聞かせたのに。

「ロレッタ〜……。なんでレックスを見ていなかったんだ」

「し、しらないわよ! あたしは、はくしゃくふじんに、さそわれて、おにわでバラをみていたんですもの!」

「旦那様、ロレッタは関係ありませんわ。怒るなんて筋違いです!」

「そうだよな……。はぁ……私が悪かった……」

 ハロルドは意気消沈してがっくりと肩を落とした。胃がキリキリして、胸がムカムカする。

 闇夜よりも暗〜い空気が彼を中心に広がっていく。
 レックスは父に怒られてまだぐずぐずと泣いていて、ロレッタは父に見当違いのことで八つ当たりされてムッと頬を膨らませてご機嫌ななめ。
 キャロラインは双子を抱きしめながらおろおろと夫を見つめていた。

「はぁ……」

 もう何度目か分からないハロルドのため息が響く。

 ハーバート公爵家にドラゴンがいるという噂は、既に王宮にまで届いていた。
 ハロルドは直ぐに国王に呼び出され、説明を求められた。彼は幼い息子の喧嘩の末の出任せだと主張したが、欲深い王は納得せず……。

「明日、騎士団が屋敷に調査に来ることになった……」

「「「えっ!?」」」

「王命だ……。仕方あるまい」

「あらぁ……」

 にわかに夫妻の空気がずんと沈んでいく。
 国王命令で騎士団が来るということは、屋敷内を徹底的に調査されるということだ。
 まだ事情を知らない双子も、両親の悲痛な表情に不安を(つの)らせていた。

「問題ない」

 その時、タッくんが沈黙を破った。

「我が騎士団とやらを全員焼き払ってやろう」

「いや、一番駄目なやつだろ、それ」とハロルド。

「目撃者は皆殺しだ」

「私が処刑になるんだが」

「冗談だ」

「笑えねぇ……」
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