『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





 ロレッタの帽子がぽつんと寂しげに落ちている。双子に何が起こったのか、嫌でも想像できた。

 キャロラインはすぐさまハロルドと屋敷に連絡。タッくんにも応援に来てもらった。彼を見られるリスクはあるが、この緊急事態の中では仕方がない。

 それからは、必死で周囲を捜索した。
 と言っても、公爵家の子女が行方不明だと(おおやけ)に知られてしまえば、二次被害も及ぶかもしれない。なので、ひっそりと迅速に動いていた。

(どうしましょう……。わたくしが、ちゃんと見ていないばっかりに……)

 罪悪感と後悔が、キャロラインの胸をジクジクと突き刺していく。
 あの時こうしていれば……と、もはや意味のない例え話だけが虚しく頭の中を駆け巡っていた。


「あの……」

 その時、さっきキャロラインにスリをしようとしていた少年が、彼女に声をかけてきた。

「あら、どうしたの?」

 不安を悟られないように、彼女は無理に笑みを作る。
 彼はちょっと目を泳がせたあと、意を決したようにしっかりと公爵夫人の目を見つめた。

「実は、オレ、ある人に頼まれて――……」


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