『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「はぁっ……はぁっ……」
レックスは暗闇の中を走っていた。
太陽はすっかり落ちて、今は微かな月明かりが頼りだった。
「うぅ……ぐすっ……」
背中で姉が泣いている。彼自身も泣きたい気持ちでいっぱいだったが、不思議と涙は出なかった。
肉体は限界に近かったが、彼の心の中は燃えたぎっていたのだ。
彼は前を向いて、走り続ける。
(ぼくは、こうしゃくけの、ちゃくなんなんだ! ぼくが、おねえさまと、おかあさまを、まもるんだい!!)