『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





「はぁっ……はぁっ……」

 レックスは暗闇の中を走っていた。
 太陽はすっかり落ちて、今は微かな月明かりが頼りだった。

「うぅ……ぐすっ……」

 背中で姉が泣いている。彼自身も泣きたい気持ちでいっぱいだったが、不思議と涙は出なかった。
 肉体は限界に近かったが、彼の心の中は燃えたぎっていたのだ。

 彼は前を向いて、走り続ける。

(ぼくは、こうしゃくけの、ちゃくなんなんだ! ぼくが、おねえさまと、おかあさまを、まもるんだい!!)

 

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