『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

 男が崩れ落ち、キャロラインの視界が広くなる。
 そこにいたのは。

「旦那様っ!!」

「よくも私の家族を傷付けたな……」

 ハロルドだった。

「やっと現れたか」

「旦那様……なんで……」

 キャロラインの瞳からポロポロと涙が(あふ)れ出す。
 双子が無事でいれば、自分はどうなってもいいと、半ば諦めていた。

 でも、夫は助けに来てくれた。
 彼の顔を見るだけで、嬉しさがこみ上げてくる。彼女の中で、夫はいつの間にか『安心』を覚える存在になっていたのだ。

「なっ……!」

 あり得ない人物の登場に、バーバラは凍り付いた。まさか、ハーバート公爵自らがここに来るなんて。
 こんな価値のない、ムカつく女のために、わざわざ……。

 ハロルドは射抜くような視線を彼女に向ける。そこには、殺意という一点しか宿っていなかった。

「あ、あ……」

 バーバラはあまりの恐怖心にガタガタと震えはじめたが、

「や、やっておしまい!」

 もうヤケクソだと言わんばかりに、暴漢たちに大声で命令をした。
 男ちがハロルドに向かっていく。公爵は瞬時に剣を振る。
 一閃。
 同時に二人の男が儚く倒れた。

「旦那様! 後ろですわ!」

 次の瞬間、ひっそりと裏手に回っていた暴漢が短剣を握って突進してきた。
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