『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

「「!?」」

 その弾みで、夫婦の身体が離れる。ハロルドはがっくりと項垂(うなだ)れ、タッくんに慰められていた。

「二人とも、無事で本当に良かったですわ」

 キャロラインは二人を強く抱きしめる。

「ぼく、がんばったでしょう?」

 レックスはあの後すぐに馬蹄の音を頼りに走って、自力で父親を見つけ出した。二人は騎士たちに保護されて、先にハロルドはキャロラインのもとへ向かったのだ。

「そうね、よく頑張りましたわ! 偉いですわ!」

「えへへ。ぼくは、すごいんだ!」

「バカ! こうなったのも、あんたのせいなのよ! あやまりなさい!」

「おかあさま、ごめんなさい……」

 レックスはしょんぼりと(こうべ)を垂れる。さすがに今回は、彼なりに責任を感じていた。自分のせいで、家族を危険な目に遭わせてしまったのだ。

「誰にでも過ちはありますわ。それを反省して、自分自身を変えれば大丈夫。過去より『今』が大事なのですわ。――ね、旦那様?」

「あぁ。そうだな」

 夫婦は優しく微笑み合う。それに引き寄せられて、双子もニッコリと笑った。

「レックスも、ロレッタも本当に頑張ったわね。二人とも強かったわ」

「うん!」

「あ、あたしは、べつに……」

 ロレッタは少し目を泳がせてから、

「でも、おかあさまが、たすけにきてくれるって、しんじてたわ」

 照れくさそうに母親に向かって呟いた。

 キャロラインは目を細めながら、子供たちの頭を撫でる。
 3人のあいだに、もう、『継母』なんていう他人行儀な言葉は要らなそうだ。



 
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