『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!




「行ってらっしゃいですわぁ〜っ!!」

 キャロラインは意外にも大人しく引き下がった。大きく手を振って、馬車を見送る。

 だんだんと遠のく女主人の姿を見て、乳母は勝利を噛み締めた。実に惨めだ。笑いが止まらない。

 先日の件で、屋敷内での自分の確固たる地位を示すことができた。
 今日は外に向けて、いかに新しい女主人が公爵家に相応しくなく、いかに己が屋敷で重要なポジションかを広めなければ。

(令嬢時代から悪名高いあの女より、うちの姪のほうがよっぽど公爵夫人に相応しいわ。旦那様にも、そろそろ分からせて差し上げないと……)


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