『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!


「あんたたち、このあたしより下のみぶんのくせに、なにさまのつもり!?」

 ロレッタが、バシャリと勢いよく紅茶をぶっかけた。

「きゃっ!」

「あついっ!」

 茶色い液体は、目の前の小さな二人の令嬢に容赦なく降り注ぐ。

「いいこと? こんどまたナメたくちをきいたら、ただじゃおかないから! ハーバートこうしゃくけを、てきにまわすとおもいなさい!」

「ごっ、ごめんなさいっ!」

「ふえーん。あたらしいドレスがぁ〜っ!」

 二人の令嬢はメソメソと泣きながら、それぞれ乳母のもとへと帰って行く。その惨めったらしい姿を、勝ち誇ったようにロレッタが眺めていた。

 令嬢たちは、ロレッタの悪口を言っていた。それをたまたま耳にしたロレッタが、制裁(・・)したのだ。

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