『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「ふっ……ふふふっ……」
バタリと閉まった扉を眺めながら、キャロラインは口元に弧を描いて笑った。
強引に封印されてちょっと鼻が痛かったが、これからのことを妄想するとこれくらいへっちゃらだ。
「計画通りですわぁ〜っ!」
ニヤリ、と今度は口の端を歪ませて笑う。これまでの道のりを振り返ると、達成感で胸が熱くなった。
クソヴォケクズカス王太子――略してクソ太子の婚約破棄からここまで、短いようで長かった。耐えて耐えて我慢して、やっと自由への第一歩を手に入れたのだ。
キャロラインは悪女らしい黒紫色の扇を、勢いよく広げて宙に放り投げた。
「わたくしの、異世界☆キラキラお貴族ライフのはじまりですわぁっ!」
キャロライン・ハーバートは、転生者だった。