『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





 これは、勘違いによる勘違いの勘違いが重なった結果であった。

 ハーバート夫妻は、乳母の毒殺計画には気付いていた。
 キャロラインは、ずっと乳母を警戒していたのでそれに気付いた。
 ハロルドは、妻が執事長に予算管理の相談をしたのを契機に、水面下で乳母を見張らせていたいた。

 まずはハロルドから動いた。
 毒薬をシロップに入れ替えたのだ。あの独特の匂いも再現してみせた。

 次にキャロラインが動く。
 彼女は、ハロルドがすり替えたシロップと、自分が用意をした蒸留酒を入れ替えたのだった。

 しかも、二人して大誤算があった。
 乳母は双子ではなく、キャロラインに毒を盛ろうとしていた……と、早とちりをしたのである。

 対して、乳母の計画はこうだ。
 まずは、双子に毒を盛る。次に、その証拠品をキャロラインの部屋のドレッサーの中に入れて、彼女を告発する。

 キャロラインは、いずれ生まれる自分と公爵の子をハーバート家の跡取りにするために、双子を始末しようと毒を盛ったのだ。

 でも、本当に双子が死んだら乳母の地位も失うので、中身は強力なしびれ薬だ。
 公爵夫人が毒を盛ったという事実さえあればいい。キャロラインは公爵の怒りを買って、追放(おさらば)だ。

 そして乳母の地位は安泰のまま。屋敷で確固たる地位を築き、権力で姪を公爵の後妻にねじ込む。

 そんな、完璧な計画だったのだ。

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