『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!

「っ……!?」
「んっ……!?」

 今度は同時にガバリと勢いよく頭を上げて、目をぱちくりさせながら見つめ合う。

「なぜ、君が謝る?」

「旦那様こそ……」

 二人して不思議そうに首を傾げた。

 数拍して「どうぞ」とレディーファースト然とハロルドが小さく手を差し出すと、キャロラインから理由を話しはじめた。

「ロレッタとレックスを危険な目に遭わせたのは、全てがわたくしの責任ですわ。母親失格です。本当に……申し訳ありませんでしたわ……」

「それは違う!」

 ハロルドは、慌てて強く否定する。

「君は……あの子たちの母としてよくやっている」

「っ……」

 吸い寄せられるように、互いの顔を見る。
 キャロラインとハロルドの視線が、初めてまっすぐに合った瞬間だった。綺麗な瞳だと、それぞれが思った。

「責任は全て私にある。私は仕事にかまけて、あの子たちを何も見ていなかった。屋敷のこともだ。一番大切にしなければならなかったのに、私は自分のことしか頭になかった」

 ハロルドは悔しそうに唇を噛んだ。あんな事態を引き起こしたのは、全てが己のせいだと思った。
 もっと子供たちと向き合っていれば。もっと子供たちの声を聞いていれば。
 後悔ばかりが、波のように彼の胸に押し寄せた。
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