『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「お子たち〜! ようこそ、おバーベキュー大会へ!」
庭には、香ばしい匂いが広がっていた。
それは屋敷の中まで届いていて、授業中だった双子も気を散らして、そわそわと外の様子を伺っていたのだ。
その光景を前にして、双子の丸い瞳が水に映った光みたいにキラキラと輝きだす。
石で作った簡易的な窯。焚き火に照らされた上には、焼き網が熱せられていた。
隣のテーブルには豪華な食材が並べられている。肉、魚介類、野菜。そしてデザートのマシュマロも!
双子はこれから始まる宴を想像すると、ワクワクが止まらなかった。
「うわぁ〜! すご〜い!」
レックスが嬉しそうにトテトテと焼き網に近付く。
「バーベキューってなによ?」
「おバーベキューは、お外に皆で集まってお肉やお野菜を焼いて食べるのよ。とっても楽しいですわよ〜」
「また、おこさまっぽいわね」
と言いつつも、ロレッタは早く始めたくてうずうずと食材を見ている。
「ぼくが、やく!」
我慢できなくなったレックスがトングを掴もうとすると、
「ふっふっふ……。その前に……」
キャロラインは、優しく継子の手を押さえて動きを制止させた。
「どうしたの、おかあさま?」
双子はなんだろうと首を傾げる。
継母はちょっともったいぶった素振りを見せたあと、
「じゃーーーんっ!!」
今朝拾ったトカゲを双子の前にドンと突き出した。
「本日のメインディッシュはこちらですわ〜!」
「……」
「……」
双子は、初めて見る大トカゲに目をぱちくりさせる。青い鱗がピカピカしていて、宝石みたいに輝いていた。
「トカゲさんだーっ!」
興奮するレックス。男の子はこの手の類のものが大好きなのだ。
「え……。これ、ほんとうにたべるの?」
ロレッタは、ちょっとだけ引いていた。
「おモチのロンですわ! あなたたち、もっとおタンパク質を取らないといけませんわよ! 今日は、お継母様と一緒にお肉をたくさんいただきましょう〜!」
キャロラインは双子に有無を言わさずに、拾ったトカゲをポンと金網の上に放り込んだ。
あとは、焼けるまで野菜や魚介類を食べながら――……、