『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!




「な、な、なぁんですってええぇぇぇーーーーーーっ!!」

 いつも声の大きい公爵夫人の、更にどデカい声が大地を揺らした。

「「うるさい」」

 迷惑顔のハロルドとドラゴンが同時に突っ込む。

「ほっ、本当に? 本当に、おドラゴンは存在しますの?」

「建国の伝承にはあるにはあるが……」

「ぼくも、えほんでしか、みたことない」

「あたしも」

 ハーバート一家がぐるりとドラゴンを囲い、ためつすがめつ眺める。好奇心旺盛なレックスは、棒切れでツンツンとつついていた。

「やめんか」

 ドラゴンがレックスに向かってふっと軽く一息吐くと、

「うわあぁぁっ!」

 それは強風となって、小さな彼にぺたんと尻もちを付かせた。

「いたぁい!」

「我をつつくからだ、小さき者よ」

「だって、ぼく、ドラゴンってはじめてみるもん!」

「我は見世物ではない。こうなったのも、全て小娘のせいだな」

 ドラゴンがキャロラインをギロリとひと睨みする。威嚇するような瞳は、丸くて、猫みたいで――……。

「なんてキュートなんでしょう〜! きゃわきゃわですわぁ〜!」

 彼女はぎゅっと抱きしめた。くるんとした瞳の小さなドラゴンの姿はとても愛らしく、胸の奥からキュンキュンとときめきが溢れてきたのだ。

「やめい!」

「びゃっ!」

 ドラゴンは翼をブンと勢いよく広げて、キャロラインを吹き飛ばした。

 そして次の瞬間、

 ――ドン!

 地底から突き上げるような衝動と、地鳴音。たちまち彼女らの目の前を、黒い影が覆い尽くす。

「「「「!?!?!?」」」」

 そこには、巨大なドラゴンが現れたのだ。
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