『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!


「もう二、三曲合わせれば問題なさそうだ。しかしこんなに踊れるとはな。プロフェッショナルのようだ」

「わたくし、ダンスは一番得意なんですの! まぁ、まだ発展途上ではあるのですが、こういうことも出来ましてよ!?」

 キャロラインはハロルドに褒められたのがよほど嬉しかったのか、子犬のようにはしゃぎながらホールの中央へ先に走っていった。

 そして、

 ――すいすいすいーーい!

 自慢のムーンウォークを披露した。
 重力に逆らうように、床を滑っていく。

(ふっ……。この世界の靴でも滑らかに動けるように密かに練習しておりましたのよ……!)

 はじめは靴を改良しようと試行錯誤してみたのだが、どうやらそっち方面では前世チート能力が開花しなかったようだ。
 ならば、この靴でダンスを極めようと、キャロラインは誓ったのだ!

「……」

 常識ではあり得ない動きを前にして、ハロルドは目を白黒させた。
 しばらく虚無状態になってカチコチに凍り付いたあと、

「なっ、なんだその動きはっ!?」

「これは、おムーンウォークですわ! わたくしの好きなダンスですの!」

「これが……ダンスなのか……?」

「こんなこともできますわよぉ〜!」

 キャロラインは再びホールの中央で舞いだす。
 ちょっと精神を集中させて、

 ――カチッ、コチッ、カチッ、コチッ!

 ――くねくねくねくねっ!

 今度は、ロボットダンスを披露した。

(説明しましょう! ロボットダンスとは、その名の通りおロボットの動きを肉体で再現したおダンスですわ!)
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