『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!



「やばやばやばですわぁ〜〜〜っ!!」

 フォレット侯爵家の屋敷に到着したキャロラインは、早速今後の身の振り方についての計画を立てることにした。

 聖子はもちろん、キャロラインとしての記憶も持っている彼女は、一応は貴族社会についても知っていた。
 婚約破棄をされた令嬢は、修道院送りか……最悪は貴族籍を剥奪されて平民落ちだ。蝶よ花よと育てられた令嬢にとっては、死刑宣告と同じである。

 しかも、彼女の婚約破棄の相手は、この国の王太子。平民落ちになる確率のほうが高いのは、火を見るより明らかだった。

 通常なら絶望に打ちひしがれるところだが、キャロラインは違った。

「だって、わたくしには強い武器がありますから〜。前世の記憶という超チート能力が!!」

 前世ではここより高度な文明を生きていた彼女には知識があった。きっと、異世界小説みたいに、現世でも成功できるはず。

「題して、『婚約破棄された転生令嬢は、異世界で前世チート無双して王太子ザマァでもう遅い!大商会のボスになってトンカツ作って薬がポーションでモフモフモフ!』ですわ〜っ!!」


 しかし、翌日、彼女の夢は儚くも打ち砕かれてしまう。

「キャロル、お前の結婚が決まった。お相手はハロルド・ハーバート公爵だ」


 
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