『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





「うわぁ〜! おとうさまとおかあさま、すっごい!」

「きれい……」

 両親のきらめくダンスの様子を、レックスとロレッタがこっそりと窓の外から見ていた。

「ね、おかあさま、きれいだね! おねえさまも、そうおもうでしょう?」

「べ、べつに! あたしはパーティーかいじょうがきれいっていってるの!」

「ぼくも、おとうさまみたいに、かっこよくおどるんだ!」

「あたしだってまけないわ! フォレットこうしゃくれいじょうみたいに――ゴッホン、ゴッホン!」

 二人がパーティーの様子を見下ろしながら(・・・・・・・)きゃいきゃいと騒いでると、

 ――ぽんっ!

 二人が乗っているドラゴンが猫サイズに戻ってしまった。

「小さき者たちよ、時間だ。帰るぞ」

「えぇー! ぼく、もっとみたい!」

「まだ、おうぞくをみていないわ!」

 双子は王宮のパーティーを見たいと駄々をこねて、馬車で城までやって来たのだ。
 さすがに会場内には入れなかったのだが、こっそり連れてきていたタッくんの上に乗って城の上から見物していた。

「我は1分しか元の姿に戻れぬ。さ、もう遅い。帰って休むぞ」

 タッくんは双子の服をよいしょと(くわ)えて持ち上げ、パタパタと馬車まで飛んでいった。



「ド、ドラゴン……!?」

「嘘だろ……?」

 その夜に警備にあたっていた城の兵士たちが、伝説のドラゴンを目撃したと騒ぎ出したのは翌朝のことだった。

 
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