優しくしないで、好きって言って

 実玖留の言いたいことは、私にだってわかってる。

 こうして無理やりここに連れてきたのも、全く彼氏を作ろうとしない私を心配してくれてのことだって、それくらい気づいてる。


 だけどどうにも、乗り気になれない自分がいるんだ。


 ……恋愛、したくないわけじゃないんだけどなぁ。



「遅れてごめん!」


 ──へ……?


 その時、どこからか聞こえてきた大きな声。

 促されるように振り向いた──瞬間。


「……っ」


 どくんっ、と血液が一気に全身を駆け巡った。


 ……な、なに──?


「いや〜道間違っちゃってさあ」

「や、元輝(もとき)が猫助けてたから遅れた」

「ちょ、言うなって」

「ひゃー、お前かっけえじゃん。……つかほら二人とも、早くこっち座れよ」


 みんながわいわいと彼らを迎え入れる。

 そんな中、私はドキドキとある一点から目が離せなくなっていた。

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