優しくしないで、好きって言って

「親父たち、リビングにいるから」


 促されるまま部屋に入るとすぐ、華やかな笑顔が私を迎えてくれた。


「七瀬ちゃん、いらっしゃい」

「巴さん! ご無沙汰してます。あの、これ……母と一緒に焼いたクッキーなんですけど」


 て言っても、ほとんどママが作ったようなものなんだけど……。


「まあ、ありがとう」

「よかったら皆さんで召し上がってください。それで、その……」


 言いながらきょろきょろと目を動す。

 すると食卓の椅子に座った短髪の男性を見つけ、緊張が走った。


 ── あの人が、瑛大のパパ……。


 さっぱりとした黒髪で、細渕の眼鏡をかけていて、どこか漂う厳かな雰囲気。

 さすがは天才医師の風格があるというかなんというか……すごいオーラを感じる。

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