優しくしないで、好きって言って
いずれわかるよ
*
気のせいなんかじゃなかった。
うんと伸びた背に広くなった肩幅。
数年振りに見た彼は、記憶の中とはまるで違う大人びた姿をしていたけれど。
『綾城瑛大です。よろしく』
その時一瞬、ぼやけていた二つの影が一つに重なって見えた。
どうして瑛大が……?
信じられない。だって、瑛大は──。
「……っ!」
咄嗟に目を逸らした。
たぶん一瞬合ってしまった目と目に、異常なまでに心臓の音が鳴っている。
私のこと、気づいたかな?
それとももう、
覚えてすらいない……?