優しくしないで、好きって言って
「……これ、ずっと不思議だったのよ。中に何か入ってるみたいなのに、鍵がないから開けられなくて。何が入ってるんだろうって」
「その中身が、俺なりの約束の証」
「証……?」
首を捻った私に、緩やかな笑みが向けられた。
その表情を保ったまま、瑛大はまっすぐに言葉を続けた。
「俺がこのくま贈った時のことは、覚えてる?」
「……うん、それは。一緒に遊んでた帰りにこの子をプレゼントしてくれて、そしたら瑛大が引っ越すって聞いて、私……」
「なんだ。そこはちゃんと覚えてんのな」
「そりゃあ」
「そのあと言ったんだよ、俺」
瞬間──頭の先からつま先まで一気に電気が通り抜けたような感覚が走った。