優しくしないで、好きって言って

「はいっ」


 返事をするや否や、キラリと光る指輪が左手の薬指に。

 だけどそれが一番奥に到達した瞬間。


「……最悪」


 落とされたのは、そんな声で。


「ふふっ」


 私は思わず笑ってしまった。


 ちょっとぶかぶかしてる?

 瑛大がつけてくれたそれは、私の指には少し大きすぎたらしい。

 でも、小さい頃にくれたもの。サイズなんて、当然わかるはずもないんだ。


 それがなんだか擽ったくて、嬉しくって。

 なのに瑛大は、全然わかってないみたい。

< 238 / 272 >

この作品をシェア

pagetop