優しくしないで、好きって言って
心-瑛大 side-
eita side
*
『好きだよ、七瀬』
言うつもりなんてなかったのに、その時覚えた衝動を止められなかった。
気づけば腕の中に七瀬がいて、俺はそんなことを口にしてた。
普通、いきなり好きだとか言われたら驚いて固まると思うだろ。
それが──。
『……私が好きになれる人は、この世で瑛大一人だけみたいね』
目に涙をいっぱいに浮かべて、零しながら、紡ぎ出されたそれ。
まさか、逆にこっちが驚かされるなんてな。
……いや。その時だけじゃない。
七瀬には昔から、驚かされてばかりだった──。