優しくしないで、好きって言って
「貸して?」
すぐ後ろから聞こえてきた声に促され見上げれば、この手に持っていたはずのドライヤーは瑛大の手に。
「い、いいよ悪いし」
「はい、七瀬はここ」
「……」
流されるままに椅子に座らされてしまった。
「じゃ、乾かすね」
その言葉を合図にドライヤーの音が鳴り、そして、瑛大の指が私のミルクティーブラウンの髪に触れた。
瞬間、ぴくんと跳ねた身体。
「……熱かった?」
「ううん大丈夫……」
バカ。そうじゃないんだってば。
答えるとすぐ、瑛大の止まった手が再び動いた。