優しくしないで、好きって言って
「七瀬さ、俺のことちょっと警戒してたでしょ?」
「……」
「バレてないと思ってた?」
「っ!」
ドキリと胸が騒ぎ出した。
そんな私の顔を容赦なしにニヤリと見つめてくる、肉食獣の瞳。
「結構傷ついたな、俺」
「うっ……それは……っ、ごめんなさい」
「冗談」
……え?
「怒ってないから」
「でも──」
「8年も経ってんだ。むしろ七瀬の反応のが普通だろ?」
瑛大はそう言って、私の頭をそっと撫でた。
「その代わり、今度は七瀬のことも教えてよ」
「……うん」
私はゆっくりと、確かめるように頷いた。
すると早速ぽつり、問いかけてきた瑛大。
「久栖さん、だっけ」
「……?」