優しくしないで、好きって言って

 本当はあの日再会してからずっと、気になってしょうがなかった。

 妙に女の子に慣れてるんだもん。

 あっちで彼女いたのかな、とか。仲良い子いたのかな、とか。


 ……でもそんなこと訊けるわけ――そう、無意識にも視線を落とした時、きゅっと握られた手に力が込められた。


「俺も……七瀬と一緒。こんなことするの、七瀬が初めて」

「……っ」

「安心した?」

「別に……」

「ドライヤー。気にしてたみたいだけど」

「なっ!?」


 あの鈍感少年だった瑛大はどこへ行ったんだ。

 海外でいったい何があったのか。合コンの時だってその変わり様に驚いたけど、こんなに鋭くなってるなんて聞いてない。

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