優しくしないで、好きって言って

「そんなこと()いてるんじゃなくて!」

「七瀬は俺のお嫁さんになるの。ちゃんとわかってる?」


 いつもより低い瑛大の声が、全身を撫で上げるように響いた。

 まるで囚われたみたいに、漆黒の瞳から目を逸らせない。


「し、しらない……」


 なんとか絞り出せた声。


「……なら」


 ──え?


「今から教えてあげる」


 ……えぇ!?

 そうしているうちに、ゆっくりと、もっと深く指が絡み合っていく。


「こうやって手、繋いだことある?」

「……ない、けど」

「彼氏、いなかったの?」

「っ、悪い? そういう瑛大こそ、どうなの?」

「……へぇ、俺のこと気になるんだ」

「それは……っ、私だけ答えるなんて不公平だからっ」


 ──嘘。

 
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