エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない

「これから着水時の安全姿勢の説明をします！」
　チーフパーサーの声とともに自分の担当の席の人たちが落ち着いているか確認して、デモンストレーションのために通路に立つ。
「座席とテーブルを元の位置に戻して！」
　莉桜も同じ文言を繰り返して、それを英語でも繰り返す。

「前の座席に向かって屈んで、手は頭に！　分からない方は安全のしおりを見て確認して！」
『着水、安全姿勢確認』
　機長からのアナウンスだ。

「安全姿勢を取ってください！　頭を下げて！」
　普段出すことはないような大声だ。
　自分の担当のシートの人たちが安全姿勢をとっているか、揺れる機体の中で莉桜たちは必死に確認をする。
　確認を完了したところでリーダーにサインを送り、自分たちもジャンプシートへ戻る。この間も大きな声を上げ続けた。

「頭を下げて！　頭を下げて！」
　同じことを英語でも繰り返す。
　そして自分たちも着水の揺れに備える。
　ざんっと音がして着水の衝撃があった。しばらくするとゆらりと揺れる感じがある。

　莉桜は自分のベルトを外してすぐにお客様の対応のため通路に向かう。