エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「よろしく」
目の前で言われて手を差し出され、莉桜は戸惑いながらその手をそうっと握った。
強く握り返され五十里の方にぐっと引かれて、バランスを崩した莉桜はその胸にもたれかかってしまう。
「本当に、つなぎ姿すら可愛いな君は」
「褒めすぎです……」
「そんな訳はない。あの、君に話しかけていた男性職員にまで嫉妬しそうだった。いや、していたかな」
男性職員? 先程話していたのは同期の立花紫の兄だ。そこまで見られていたらしい。
「あの人は、同期のお兄さんです」
「単にそれだけの人?」
「はい」
そう返事をして莉桜は五十里の胸の中でこくりと頷く。休憩時間も終わりそうなのでそろそろ行かなくてはいけない。
「あの……そろそろ行かないと」
「そうだな。非常に惜しいが仕方ない。もしも遅いと叱られたら俺の案内をしていたと言えばいい。今日の夜にでもまた連絡する」
名残り惜しげに身体を離しながら、ふわりと笑って五十里は莉桜に言った。
階段のあった扉から廊下に出ると、窓から陽の光が入っている廊下は眩しくて、先程のことが現実だったのかも一瞬分からなくなる。
目の前で言われて手を差し出され、莉桜は戸惑いながらその手をそうっと握った。
強く握り返され五十里の方にぐっと引かれて、バランスを崩した莉桜はその胸にもたれかかってしまう。
「本当に、つなぎ姿すら可愛いな君は」
「褒めすぎです……」
「そんな訳はない。あの、君に話しかけていた男性職員にまで嫉妬しそうだった。いや、していたかな」
男性職員? 先程話していたのは同期の立花紫の兄だ。そこまで見られていたらしい。
「あの人は、同期のお兄さんです」
「単にそれだけの人?」
「はい」
そう返事をして莉桜は五十里の胸の中でこくりと頷く。休憩時間も終わりそうなのでそろそろ行かなくてはいけない。
「あの……そろそろ行かないと」
「そうだな。非常に惜しいが仕方ない。もしも遅いと叱られたら俺の案内をしていたと言えばいい。今日の夜にでもまた連絡する」
名残り惜しげに身体を離しながら、ふわりと笑って五十里は莉桜に言った。
階段のあった扉から廊下に出ると、窓から陽の光が入っている廊下は眩しくて、先程のことが現実だったのかも一瞬分からなくなる。