エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 そして運転手の言う通り程なくソシアルグランドホテルに到着し、ドアマンが車のドアを開けてくれる。

 先に降りた五十里が中の莉緒に手を差し伸べてくれるので、莉緒はその手に掴まった。
 すらりと長身で端整な五十里と愛らしい雰囲気の莉緒は二人で並んでいてもとても微笑ましくお似合いだ。

「ここのレストランは来たことあるか?」
「いいえ。いつか来たいとは思ってましたけど」
「それはよかった。とても秀逸だから楽しみにしていてほしい」
 にこにことしている五十里はとても楽しそうだ。莉緒をエスコートするのすら楽しいようだった。

 ソシアルグランドホテルは吹き抜けになった天井から華やかなシャンデリアがぶら下がっており、内装もベージュやゴールドがベースとなっている。落ち着いた雰囲気で上品でありながらも煌びやかだ。
 海外からのお客様が多いのも納得だった。

 五十里はスーツの胸ポケットからゴールドのカードを取り出すと、エレベーターのボタンを押す際にかざした。
(もしかして、クラブフロア?)
 このソシアルグランドホテルにはクラブフロアと呼ばれるエグゼクティブのためのフロアがあることは莉緒も知っていた。
 クラブフロアに入るためにはクラブ会員となることが必要で、年収だけでなく社会的ステータスやその背景すらも審査の対象になるらしい。
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