エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「いらっしゃいませ。僕、お席は分かるかな?」
 走っていったこうちゃんは飛行機の入口で綺麗なお姉さんに話しかけられて急にもじもじしている。
「これ……」
 チケットを客室乗務員に見せていた。
「こちらの通路にどうぞ」
 JSAの社員は顔で選んでいるわけではないだろうが、それでも顔立ちの整った社員が多い。

 そこからさらに自分を磨くのだから、それは魅力的な人物が多いことも納得だなと五十里はその客室乗務員を見ながらそんなことを思っていた。
 子供に向けた笑顔がとてもキュートなスタッフだった。
 くりっと愛嬌のある目元と、笑った時に口角にできるえくぼが表情を豊かに見せている。
 そんな彼女を見てふっと微笑んで、五十里は自分の座席に向かった。

 今日乗る機体は五十里重工のものではないが、それでも最新の機体で、ブースに区切ってあるビジネスシートに五十里は満足する。
(やはりビジネスシートは区切るべきだな)
 自分は客目線なので客室にもこだわって五十里重工の新型機はシートを数センチだが、広くとってある。

 単純に数センチというが、かといって通路を狭くするわけにはいかない。通路はサービスカートが行き来するサービスに使用するだけではなくて、避難の際の避難路にもなるので、安全を守るため厳格に広さが定められているのだ。
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