エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 いつも莉桜が見とれてしまうほどの大人なのに、五十里が飛行機のことを語る時は、まるで少年のように瞳がキラキラとしているのを見るのがとても好きだ。
 莉桜は自分も空が好きだからその気持ちはとてもよく分かる。
 二人でいろんなことを共有できるのも、五十里との交際をしていていいなあと思うことの一つだった。

 この日は運よく自宅に帰ってきたところで五十里のメールを受けることができた。メイクを落とし、部屋着に着替えてリラックスしながら莉桜はスマートフォンが着信を知らせるのを待つ。
 五十里も帰りの車の中でメールしていたと言っていたから、そろそろ自宅に到着する頃だろう。

 スマートフォンが着信を知らせるのを見て、莉桜は気持ちを落ち着かせてから通話ボタンを押す。
「五十里さん、お疲れさまです」
『お疲れさま。莉桜はゆっくりできたか?』
「はい。お部屋でゆっくりしていました」
 低くて甘い莉桜の好きな五十里の声が受話器から聞こえる。それだけでも幸せな気持ちになりそうだ。

『今日はソウル便だったな。トラブルはなかった?』
「大きなトラブルはなかったです」
 お互いに時間が取れない同士なので、莉桜も五十里も分かる範囲でスケジュールは共有するようにしている。とは言え、きっちりと決まっている莉桜の予定に反して、五十里の方が流動的であることも間違いはない。
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