エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
　それは本当にその通りだった。ゴールデンウイークや年末年始は繁忙期に該当する。飛行機の座席もほぼ満席になるというような状況なのだ。
　正直飛行機に慣れていない旅客も多く気を遣うことも多い。

『俺も今は忙しいが、新型機を送り出してしまえば平日に休みを申告することも可能だからな』
「五十里さんも今は忙しいですね」
『仕方ない。大変ではあるが充実はしているしな。それは莉桜も同じだろう』
　確かにそうかもしれなかった。
　お互いに忙しく会えないことに寂しさも感じるけれど、充実しているからこそ会えた時は気持ちを確認したくなるのだろう。

　五十里との通話をしてから一週間が経過していた。この日は莉桜はシカゴ便への乗務の予定だ。
　以前、五十里と出会ったときは初めてのビジネスシート担当だったなあなんてことを思い出しながら、莉桜は機内でお客さまのご案内をしていた。
　今日はエコノミーシートの後部座席担当なのだ。荷物が入らないというお客さまの荷物を頭上の荷物入れに入れるのを手伝う。幸いなことに隣の荷物入れに少し空きを発見する。
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