本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 76
「参ったな……」
岡本との電話を切った後、ため息をついた。今日は以前からの約束で常盤恵利と11時から新宿西口にある高層ホテル1Fにあるカフェで待ち合わせをしていた。その時に岡本が常盤恵利と話をする為にホテルに来るといい出したからだ。
「あいつは血の気が多いからな……揉め事にならなければいいが……」
そして再びため息をついた――
****
待ち合わせは11時だったが、1分でも遅れればあの女はヒステリーを起こしかねない。だから待ち合わせ場所には15分余裕を持って行った。そして何も注文もせずに、椅子に掛けて常盤恵利が来るのをじっと待った。
「お待たせ、直人」
不意に声をかけられ、顔を上げるとそこには茶色のチェックワンピーススーツを着用した常盤恵利が立っていた。
「ああ……」
頷くと俺の向かい側に座り、機嫌良さそうに話し出した。
「いいじゃない? 今日は時間より前に来て私を待っていたのね?」
「そうだ。大事な話があったからな」
「大事な話ねぇ……あら? 何も飲み物を頼んでいなかったの?」
「ああ。1人だけ先に頼むわけにはいかないだろ?」
「ふ〜ん……そう? それじゃ頼みましょう。一緒の飲み物でいいわよね」
「別に構わない」
すると常盤恵利はスッと手を上げた。すかさず男性店員がやって来る。
「お待たせ致しました。ご注文は何に致しますか?」
「ウィンナ・コーヒー2つ」
え!?
俺は思わず常盤恵利を見た。ウィンナ・コーヒーだって? ブラックでもカフェオレでもなく!? 今迄ウィンナ・コーヒー等頼んだ事も飲んだことすらないので驚いた。
「かしこまりした。少々お待ち下さい」
「ええ、お願い」
常盤恵利と店員は俺の戸惑いに気付くこと無く、さっさと注文を決め、店員は頭を下げて去っていく。
「……」
気付けば俺は常盤恵利を凝視していたようだった。
「……何? どうかしたの?」
「い、いや。何でも無い」
そしてカフェにかかっている時計を見た。時刻は11時10分だ。
岡本……まだ来ないのだろうか? いや……出来れば来ないで貰いたいが……。
そこへ店員が2人分のウィンナ・コーヒーを持ってきた。
「お待たせ致しました」
「ありがと」
「……ありがとう」
店員は俺たちの前にコーヒーを置くと去っていく。
「……ウィンナ・コーヒーが好きなのか?」
「ええ、好きよ。美味しいじゃない」
その時――
「あれ? 直人じゃないか?」
来たか……。
顔を上げるとそこには不敵な笑みを浮かべた岡本亮平が立っていた。
「あ、ああ、亮平じゃないか。久しぶりだな……」
かなりギクシャクしていたかもしれないが、俺は何とか返事をした。
「あの……どちら様ですか?」
常盤恵利は突然現れた亮平に怪訝そうな表情を向けながら声をかけた。
「ああ、彼は……」
すると岡本が素早く口を挟んできた。
「共通の知り合いを持つ友人さ。実はここで彼女と待ち合わせしていたんだけど、どうもすっぽっかされてしまったみたいなんだよ。そしたら偶然お前がここにいるんだものな。折角久しぶりに会ったんだ。俺も話に混ぜてくれないか? お前に大事な話があるしな」
「ちょ、ちょっと……!」
岡本は強引に席に座ると、常盤恵利に睨みをきかせる。
流石は岡本だ。あの常盤恵利に一歩も引か無いのだから。
そして、ここから修羅場が始まる――
岡本との電話を切った後、ため息をついた。今日は以前からの約束で常盤恵利と11時から新宿西口にある高層ホテル1Fにあるカフェで待ち合わせをしていた。その時に岡本が常盤恵利と話をする為にホテルに来るといい出したからだ。
「あいつは血の気が多いからな……揉め事にならなければいいが……」
そして再びため息をついた――
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待ち合わせは11時だったが、1分でも遅れればあの女はヒステリーを起こしかねない。だから待ち合わせ場所には15分余裕を持って行った。そして何も注文もせずに、椅子に掛けて常盤恵利が来るのをじっと待った。
「お待たせ、直人」
不意に声をかけられ、顔を上げるとそこには茶色のチェックワンピーススーツを着用した常盤恵利が立っていた。
「ああ……」
頷くと俺の向かい側に座り、機嫌良さそうに話し出した。
「いいじゃない? 今日は時間より前に来て私を待っていたのね?」
「そうだ。大事な話があったからな」
「大事な話ねぇ……あら? 何も飲み物を頼んでいなかったの?」
「ああ。1人だけ先に頼むわけにはいかないだろ?」
「ふ〜ん……そう? それじゃ頼みましょう。一緒の飲み物でいいわよね」
「別に構わない」
すると常盤恵利はスッと手を上げた。すかさず男性店員がやって来る。
「お待たせ致しました。ご注文は何に致しますか?」
「ウィンナ・コーヒー2つ」
え!?
俺は思わず常盤恵利を見た。ウィンナ・コーヒーだって? ブラックでもカフェオレでもなく!? 今迄ウィンナ・コーヒー等頼んだ事も飲んだことすらないので驚いた。
「かしこまりした。少々お待ち下さい」
「ええ、お願い」
常盤恵利と店員は俺の戸惑いに気付くこと無く、さっさと注文を決め、店員は頭を下げて去っていく。
「……」
気付けば俺は常盤恵利を凝視していたようだった。
「……何? どうかしたの?」
「い、いや。何でも無い」
そしてカフェにかかっている時計を見た。時刻は11時10分だ。
岡本……まだ来ないのだろうか? いや……出来れば来ないで貰いたいが……。
そこへ店員が2人分のウィンナ・コーヒーを持ってきた。
「お待たせ致しました」
「ありがと」
「……ありがとう」
店員は俺たちの前にコーヒーを置くと去っていく。
「……ウィンナ・コーヒーが好きなのか?」
「ええ、好きよ。美味しいじゃない」
その時――
「あれ? 直人じゃないか?」
来たか……。
顔を上げるとそこには不敵な笑みを浮かべた岡本亮平が立っていた。
「あ、ああ、亮平じゃないか。久しぶりだな……」
かなりギクシャクしていたかもしれないが、俺は何とか返事をした。
「あの……どちら様ですか?」
常盤恵利は突然現れた亮平に怪訝そうな表情を向けながら声をかけた。
「ああ、彼は……」
すると岡本が素早く口を挟んできた。
「共通の知り合いを持つ友人さ。実はここで彼女と待ち合わせしていたんだけど、どうもすっぽっかされてしまったみたいなんだよ。そしたら偶然お前がここにいるんだものな。折角久しぶりに会ったんだ。俺も話に混ぜてくれないか? お前に大事な話があるしな」
「ちょ、ちょっと……!」
岡本は強引に席に座ると、常盤恵利に睨みをきかせる。
流石は岡本だ。あの常盤恵利に一歩も引か無いのだから。
そして、ここから修羅場が始まる――