本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 88
あの強気な常盤恵利が電話越しで悲しげに泣いている。だが、それでも俺の心は少しも動揺することは無かった。
「いくら泣かれても駄目だ。俺は君には最初から何も興味が無かったし、好意も持てない。結婚生活なんか描く事も出来なかった」
『何よそれ! よくも……泣いている人間の前でそんな冷たいこと言えるわね! 酷いじゃないのよ!』
「酷い? 君がそんな事を言える立場なのか? 無理やり俺と恋人を引き離しておきながら、どの口が言える。それだけじゃない。恋人は俺の為におとなしく身を引いてくれたのに君はわざわざ彼女を訪ねて俺のマンションの部屋の鍵を取り返した。それに手切れ金として金まで渡そうとしただろう?」
『……その話、全部あの女の幼馴染の男から聞いたのね……?』
涙混じりの声で常盤恵利が言う。
「そうだ。本当に君は最低な人間だ。君みたいな女に冷たい人間と言われたくないね」
『な、なら……もっと凄い話教えてあげるわよ! いい? 私はね……貴方があの女に渡したホテルのチケットを取り上げてやったわ! それだけじゃない。あたかも貴方と一緒にホテルに泊まった様に見せかけたメールを送ってやったわよ! 平手打ちしたことだってあるんだから!』
まるで自暴自棄のように叫ぶ常盤恵利の言葉に全身の血が引く。
「な、何だって……? 鈴音にそんな真似をしたのか……? よくも俺の大切な鈴音にそんな酷いことを……君は最低な女だ!」
一体何処まで鈴音を傷つければ気が済むんだ!?
『何よ! こんな真似をさせたのは……すべて直人! 貴方のせいでしょう!!』
その言葉に耳を疑う。
「何だって? 何故俺のせいになるんだ!?」
『そうでしょう!? 直人が……直人がいつまでも私の事を顧みないから……だ、だからあの女に嫌がらせをしたのよ……お願い……貴方が好きなのよ……私を捨てないでよ……』
電話口では常盤恵利のすすり泣く声が聞こえている。……本当に愚かな女だ。
「何と言われようと君とはもう終わりだ。二度と連絡もしないし、会うことはない。結婚式場に招待状だって君が勝手にやったことだろう? 俺には関係ない。勝手にどうとでもしてくれ」
自分でもここまで冷たい事を言えると人間とは思えなかったが、不思議と罪悪感のような物は一切湧かなかった。
『わ、分かったわよ……そ、そこまで言うなら……わ、別れてあげるわ……。どうせ……直人の心はあの鈴音って女の物なんだから……』
「……」
俺は黙って常盤恵利の話を聞いていた。
『何よ……もう、私とは口も聞きたくないってわけ……?』
「別に、そういうわけじゃない」
『別れる代わりに……条件があるわ……。結婚の話は延期になった様に……カモフラージュするように協力しなさいよ……。2人のスケジュールが合わなくて、今は式を挙げられなくなったことにすれば……世間も納得するでしょう? 半年もあれば……ほとぼりも覚めるだろうし……その頃に正式に婚約話が破綻したことにしてちょうだい。結婚まで決まめていたのに、全てを無かった事にするのなら……それ位の誠意を見せてもいいんじゃないの……?』
半年後に正式に常盤恵利と婚約破棄をする……。
「その間、もう君とは会わなくていいんだろうな?」
『!』
常盤恵利の息を飲む気配を感じた。
「どうなんだ? 答えてくれ」
『わ、分かったわよ……。こ、この電話で……もう最後にするわよ……』
再び常盤恵利がすすり泣きを始めた。
「なら、いい。さよなら」
それだけ言うと、俺は電話を切った――
「いくら泣かれても駄目だ。俺は君には最初から何も興味が無かったし、好意も持てない。結婚生活なんか描く事も出来なかった」
『何よそれ! よくも……泣いている人間の前でそんな冷たいこと言えるわね! 酷いじゃないのよ!』
「酷い? 君がそんな事を言える立場なのか? 無理やり俺と恋人を引き離しておきながら、どの口が言える。それだけじゃない。恋人は俺の為におとなしく身を引いてくれたのに君はわざわざ彼女を訪ねて俺のマンションの部屋の鍵を取り返した。それに手切れ金として金まで渡そうとしただろう?」
『……その話、全部あの女の幼馴染の男から聞いたのね……?』
涙混じりの声で常盤恵利が言う。
「そうだ。本当に君は最低な人間だ。君みたいな女に冷たい人間と言われたくないね」
『な、なら……もっと凄い話教えてあげるわよ! いい? 私はね……貴方があの女に渡したホテルのチケットを取り上げてやったわ! それだけじゃない。あたかも貴方と一緒にホテルに泊まった様に見せかけたメールを送ってやったわよ! 平手打ちしたことだってあるんだから!』
まるで自暴自棄のように叫ぶ常盤恵利の言葉に全身の血が引く。
「な、何だって……? 鈴音にそんな真似をしたのか……? よくも俺の大切な鈴音にそんな酷いことを……君は最低な女だ!」
一体何処まで鈴音を傷つければ気が済むんだ!?
『何よ! こんな真似をさせたのは……すべて直人! 貴方のせいでしょう!!』
その言葉に耳を疑う。
「何だって? 何故俺のせいになるんだ!?」
『そうでしょう!? 直人が……直人がいつまでも私の事を顧みないから……だ、だからあの女に嫌がらせをしたのよ……お願い……貴方が好きなのよ……私を捨てないでよ……』
電話口では常盤恵利のすすり泣く声が聞こえている。……本当に愚かな女だ。
「何と言われようと君とはもう終わりだ。二度と連絡もしないし、会うことはない。結婚式場に招待状だって君が勝手にやったことだろう? 俺には関係ない。勝手にどうとでもしてくれ」
自分でもここまで冷たい事を言えると人間とは思えなかったが、不思議と罪悪感のような物は一切湧かなかった。
『わ、分かったわよ……そ、そこまで言うなら……わ、別れてあげるわ……。どうせ……直人の心はあの鈴音って女の物なんだから……』
「……」
俺は黙って常盤恵利の話を聞いていた。
『何よ……もう、私とは口も聞きたくないってわけ……?』
「別に、そういうわけじゃない」
『別れる代わりに……条件があるわ……。結婚の話は延期になった様に……カモフラージュするように協力しなさいよ……。2人のスケジュールが合わなくて、今は式を挙げられなくなったことにすれば……世間も納得するでしょう? 半年もあれば……ほとぼりも覚めるだろうし……その頃に正式に婚約話が破綻したことにしてちょうだい。結婚まで決まめていたのに、全てを無かった事にするのなら……それ位の誠意を見せてもいいんじゃないの……?』
半年後に正式に常盤恵利と婚約破棄をする……。
「その間、もう君とは会わなくていいんだろうな?」
『!』
常盤恵利の息を飲む気配を感じた。
「どうなんだ? 答えてくれ」
『わ、分かったわよ……。こ、この電話で……もう最後にするわよ……』
再び常盤恵利がすすり泣きを始めた。
「なら、いい。さよなら」
それだけ言うと、俺は電話を切った――