本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 90
常盤商事と常盤恵利の縁を完全に切る事が出来、更に川口家電の社長に就任した俺はますます精力的に仕事に取り組み始めた。
台湾の企業と取引が始まり、時々台湾に飛んだ事もあった。
少しずつ仕事にも慣れてきた頃……。
「兄ちゃん……本来だったら今日は常盤商事の令嬢と結婚式を挙げる予定だったんじゃないか?」
2人で俺の部屋でアルコールを飲みながら食事をしていると、突然和也がとんでも無い事を言ってきた為、口にしていたアルコールを危うく吹き出しそうになってしまった。
「ゴ、ゴホッゴホッ……」
「だ、大丈夫か? 兄ちゃん」
ノンアルのビールを飲んでいた和也が慌てて、俺の背中をさすってきた。
「か、和也……お、お前何て事言うんだ? 折角あの女の事忘れかけていたのに」
「ごめん、つい。だけどさ……確か鈴音さんて、兄ちゃんが2月14日に結婚すると思っていたんだろう?」
和也がしんみりした様子で言う。
そうだ。鈴音は俺が結婚を取りやめにした事を知らない。そして俺はその事を鈴音に伝える事すら出来ないのだ。……約束の半年が経過するまでは……。
「くそ……。常盤恵利が鈴音に余計な事を吹き込まなければ……こんな厄介な事にはならなかったのに……」
縁が切れたとは言え、再び俺の中で常盤恵利に関する憎しみが蘇ってくる。
「鈴音さん……今頃何してるのかな……」
和也がポツリと呟く。俺の脳裏に一瞬岡本の顔が脳裏に浮かぶ。
あいつ……ひょっとしてバレタインだからと言って、鈴音に会っているんじゃないだろうな?
いや、あいつは俺と鈴音の仲を取り持つと約束したんだ。だから……恐らく大丈夫だろう。
その時――
トゥルルルルル……
突然俺のスマホが鳴り響いた。それは岡本からだった。
「あ! あいつ……!」
「どうかした?」
和也が着信相手を見て、あっという顔をした。
「岡本って……あの……?」
「ああ、鈴音の……幼馴染だ」
すぐにスマホをタップした。
「もしもし?」
『ああ、久しぶりだな。どうだ? 今日、本来はお前の結婚式だったはずだろう?』
「それは取りやめになったのは知ってるだろう? あれから色々な手続きを済ませるためにどれくらい大変だったかお前に分かるか?」
こいつ……一体何言ってるんだ?
『そんなの俺の知ったことかよ。実はな、今夜鈴音を誘って焼き鳥屋へ行ったんだよ』
「何だって?」
自分の声が殺気立つ。
『どうだ? 羨ましいか? 鈴音はなぁ……今日はお前と婚約者の結婚式だったと信じて疑っていなかったぞ?』
何処かからかうような言い方に苛立ちが募ってくる。
「……くそ! 彼女があんな事言い出さなければ……鈴音の前に堂々と姿を見せる事が出来るのに!」
『それで今も元婚約者と会っているのか?』
「まさか! 会うはず無いだろう!? 俺は完全に彼女とは縁を切ったんだから」
『そうかよ。とにかく、あと半年……せいぜい世間の目を騙すんだな。それじゃ』
電話を切ろうとする岡本に驚いた。
「え? 何だ? 一体何故俺に電話かけてきたんだよ!?」
『さあな、今どうしてるか気になっただけだよ。じゃあな』
「お、おい!」
俺の静止する声も聞かず、岡本は電話を切ってしまった。
「何だ? あいつ……」
すると和也が声をかけてきた。
「岡本さん、何だって?」
「さぁ? 多分俺に喧嘩をふっかけたかったのかもな」
「……それって、随分性格悪いよね?」
「もうあんな奴、知るものか」
俺は缶ビールを飲み干した――
台湾の企業と取引が始まり、時々台湾に飛んだ事もあった。
少しずつ仕事にも慣れてきた頃……。
「兄ちゃん……本来だったら今日は常盤商事の令嬢と結婚式を挙げる予定だったんじゃないか?」
2人で俺の部屋でアルコールを飲みながら食事をしていると、突然和也がとんでも無い事を言ってきた為、口にしていたアルコールを危うく吹き出しそうになってしまった。
「ゴ、ゴホッゴホッ……」
「だ、大丈夫か? 兄ちゃん」
ノンアルのビールを飲んでいた和也が慌てて、俺の背中をさすってきた。
「か、和也……お、お前何て事言うんだ? 折角あの女の事忘れかけていたのに」
「ごめん、つい。だけどさ……確か鈴音さんて、兄ちゃんが2月14日に結婚すると思っていたんだろう?」
和也がしんみりした様子で言う。
そうだ。鈴音は俺が結婚を取りやめにした事を知らない。そして俺はその事を鈴音に伝える事すら出来ないのだ。……約束の半年が経過するまでは……。
「くそ……。常盤恵利が鈴音に余計な事を吹き込まなければ……こんな厄介な事にはならなかったのに……」
縁が切れたとは言え、再び俺の中で常盤恵利に関する憎しみが蘇ってくる。
「鈴音さん……今頃何してるのかな……」
和也がポツリと呟く。俺の脳裏に一瞬岡本の顔が脳裏に浮かぶ。
あいつ……ひょっとしてバレタインだからと言って、鈴音に会っているんじゃないだろうな?
いや、あいつは俺と鈴音の仲を取り持つと約束したんだ。だから……恐らく大丈夫だろう。
その時――
トゥルルルルル……
突然俺のスマホが鳴り響いた。それは岡本からだった。
「あ! あいつ……!」
「どうかした?」
和也が着信相手を見て、あっという顔をした。
「岡本って……あの……?」
「ああ、鈴音の……幼馴染だ」
すぐにスマホをタップした。
「もしもし?」
『ああ、久しぶりだな。どうだ? 今日、本来はお前の結婚式だったはずだろう?』
「それは取りやめになったのは知ってるだろう? あれから色々な手続きを済ませるためにどれくらい大変だったかお前に分かるか?」
こいつ……一体何言ってるんだ?
『そんなの俺の知ったことかよ。実はな、今夜鈴音を誘って焼き鳥屋へ行ったんだよ』
「何だって?」
自分の声が殺気立つ。
『どうだ? 羨ましいか? 鈴音はなぁ……今日はお前と婚約者の結婚式だったと信じて疑っていなかったぞ?』
何処かからかうような言い方に苛立ちが募ってくる。
「……くそ! 彼女があんな事言い出さなければ……鈴音の前に堂々と姿を見せる事が出来るのに!」
『それで今も元婚約者と会っているのか?』
「まさか! 会うはず無いだろう!? 俺は完全に彼女とは縁を切ったんだから」
『そうかよ。とにかく、あと半年……せいぜい世間の目を騙すんだな。それじゃ』
電話を切ろうとする岡本に驚いた。
「え? 何だ? 一体何故俺に電話かけてきたんだよ!?」
『さあな、今どうしてるか気になっただけだよ。じゃあな』
「お、おい!」
俺の静止する声も聞かず、岡本は電話を切ってしまった。
「何だ? あいつ……」
すると和也が声をかけてきた。
「岡本さん、何だって?」
「さぁ? 多分俺に喧嘩をふっかけたかったのかもな」
「……それって、随分性格悪いよね?」
「もうあんな奴、知るものか」
俺は缶ビールを飲み干した――