本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 64
「鈴音が以前付き合っていた男、今日婚約破断の申し入れをしに行くって連絡が入ったんですよ」
「確かお父さんの会社を守る為にお願いしに行った会社の社長さんとお嬢さんに気に入られたって人よね? それで破断出来そうなの?」
「ええ、本人はそう言っていますが……」
そんな事言って実際出来るのか? 俺は唇を噛みしめた。
「それは良いニュースじゃない。早速鈴音ちゃんに教えてあげなくちゃ」
忍が嬉しそうに笑う。
「それは駄目です!」
「え? 何故駄目なの?」
「その男に言われているからです。自分の事は鈴音に黙っていてくれと」
「でも婚約破断の申し入れをして来るって話を亮平君にしてきたって事は、本当は鈴音ちゃんに伝えて置いて欲しくて連絡してきたんじゃないのかしら?」
「それは確かにそうかもしれないですが、仮に先方から断られたら? 破断の話はやっぱり受け入れられないと言われて断られたら?また鈴音が傷つくじゃないですか」
自分で言いながら、分っていた。違う、これは言い訳だと。鈴音を川口に渡したくないから、俺は理由を作って鈴音に知らせたくないだけなんだ。
「亮平君……」
忍は神妙な顔つきで俺を見る。
「取りあえず朝ご飯食べたらどう? お仕事があるでしょう?」
「はい……頂きます……」
俺は茶碗に箸をつけて、食事を始めると向かい側に忍が座った。
「実はね、私が毎月購入している雑誌でブライダル特集が組まれていたの」
「ブライダル特集……?」
味噌汁を飲みながら首を捻った。
「ええ。それで昨夜、鈴音ちゃんならどんな結婚式がお似合いかな~と思ってページを開いたままにしていたのよ。そしたら鈴音ちゃんが帰って来たからお風呂の準備をしに行ったのね。そして戻ってみると、真剣な顔でブライダル特集のページを見つめていたのよ」
「鈴音が?」
やっぱり鈴音は結婚願望があるのか……?
「それで試しに鈴音ちゃんならどんな結婚式がいいか尋ねてみたのよ」
「鈴音は何て言ってたんですか?」
「海辺の近くにある緑に囲まれた小さな教会で結婚式を挙げたいって言ってたわ。豪華な式じゃなくて、身内だけのシンプルな結婚式で十分みたいよ。随分具体的よね?」
「忍さん?一体……」
一体何を言い出すのだろう?
「覚えておいた方がいいかなと思ってね」
忍が微笑んだその時――
「お姉ちゃん!」
鈴音の声がダイニングルームに響き渡った。
「よぉ。おはよう、鈴音」
茶碗を持ちながら俺は鈴音に朝の挨拶をした。
「え……? ええっ!? ど、どうして亮平がここで朝御飯食べているの!?」
鈴音は大きな目が今にも零れ落ちてしまうのではないかと思う位見開いている。どうしてここで食事しているかだって? お前がここにいるからじゃないか。
鈴音が仮に川口とよりを戻せば、確実に結婚するだろう。そうなると鈴音はこの家に帰って来る事は滅多に無くなるだろうし、俺は気軽に鈴音と話をする事も出来なくなってしまうかもしれない。
すまない。鈴音……。
川口がはっきりケリをつけるまでは、まだ何も話してやれない。
鈴音はひょっとすると結婚願望があるかもしれない。
鈴音と川口が完全にヨリを戻す前に、俺の気持ちを伝えれば……ひょっとすると見込みがあるのではないだろうか――
「確かお父さんの会社を守る為にお願いしに行った会社の社長さんとお嬢さんに気に入られたって人よね? それで破断出来そうなの?」
「ええ、本人はそう言っていますが……」
そんな事言って実際出来るのか? 俺は唇を噛みしめた。
「それは良いニュースじゃない。早速鈴音ちゃんに教えてあげなくちゃ」
忍が嬉しそうに笑う。
「それは駄目です!」
「え? 何故駄目なの?」
「その男に言われているからです。自分の事は鈴音に黙っていてくれと」
「でも婚約破断の申し入れをして来るって話を亮平君にしてきたって事は、本当は鈴音ちゃんに伝えて置いて欲しくて連絡してきたんじゃないのかしら?」
「それは確かにそうかもしれないですが、仮に先方から断られたら? 破断の話はやっぱり受け入れられないと言われて断られたら?また鈴音が傷つくじゃないですか」
自分で言いながら、分っていた。違う、これは言い訳だと。鈴音を川口に渡したくないから、俺は理由を作って鈴音に知らせたくないだけなんだ。
「亮平君……」
忍は神妙な顔つきで俺を見る。
「取りあえず朝ご飯食べたらどう? お仕事があるでしょう?」
「はい……頂きます……」
俺は茶碗に箸をつけて、食事を始めると向かい側に忍が座った。
「実はね、私が毎月購入している雑誌でブライダル特集が組まれていたの」
「ブライダル特集……?」
味噌汁を飲みながら首を捻った。
「ええ。それで昨夜、鈴音ちゃんならどんな結婚式がお似合いかな~と思ってページを開いたままにしていたのよ。そしたら鈴音ちゃんが帰って来たからお風呂の準備をしに行ったのね。そして戻ってみると、真剣な顔でブライダル特集のページを見つめていたのよ」
「鈴音が?」
やっぱり鈴音は結婚願望があるのか……?
「それで試しに鈴音ちゃんならどんな結婚式がいいか尋ねてみたのよ」
「鈴音は何て言ってたんですか?」
「海辺の近くにある緑に囲まれた小さな教会で結婚式を挙げたいって言ってたわ。豪華な式じゃなくて、身内だけのシンプルな結婚式で十分みたいよ。随分具体的よね?」
「忍さん?一体……」
一体何を言い出すのだろう?
「覚えておいた方がいいかなと思ってね」
忍が微笑んだその時――
「お姉ちゃん!」
鈴音の声がダイニングルームに響き渡った。
「よぉ。おはよう、鈴音」
茶碗を持ちながら俺は鈴音に朝の挨拶をした。
「え……? ええっ!? ど、どうして亮平がここで朝御飯食べているの!?」
鈴音は大きな目が今にも零れ落ちてしまうのではないかと思う位見開いている。どうしてここで食事しているかだって? お前がここにいるからじゃないか。
鈴音が仮に川口とよりを戻せば、確実に結婚するだろう。そうなると鈴音はこの家に帰って来る事は滅多に無くなるだろうし、俺は気軽に鈴音と話をする事も出来なくなってしまうかもしれない。
すまない。鈴音……。
川口がはっきりケリをつけるまでは、まだ何も話してやれない。
鈴音はひょっとすると結婚願望があるかもしれない。
鈴音と川口が完全にヨリを戻す前に、俺の気持ちを伝えれば……ひょっとすると見込みがあるのではないだろうか――