本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 3
午後3時――
依頼主の加藤さんの引っ越しの荷物を全て新居のマンションへ移し終えた。先輩たちは先にトラックへ乗り込み、俺は1人マンションに残って作業完了報告書を加藤さんに玄関先で手渡した。
「こちらですべて作業は完了い致しました。こちら報告書になりますのでお渡ししておきますね」
「ありがとうございました」
加藤さんは笑顔で受け取ると、不意に玄関の上に置いてあったレジ袋を手渡してきた。
「あの、これ良かったら皆さんでどうぞ」
「え?」
途惑いながらレジ袋をみると、栄養ドリンクとどら焼きが3人分ずつ入っている。ま、まさか……?
「え!? お客さん……これを俺達にくれるんですか!?」
「はい、お忙しい時期に本当に助かりました。ありがとうございます」
この仕事を始めてから、差し入れを貰ったのは初めてだった。感動してしまった俺は余計な事だと思いつつも、つい言ってしまった。
「実は俺、今年入社1年目なんですよ。お客さんが初めてです。こんな風に差仕入れをくれたの……何か嬉しいです。この仕事に就いて良かったなって今初めて思いましたよ」
じっと自分を見つめて来る加藤さんを意識してしまい、自分でも顔が赤くなっているのが分っていた。
「そうなんですか? 入社1年目って私と一緒ですね。お互い、それぞれの仕事がんばりましょうね?」
加藤さんは笑顔で俺に言う。それは……とても魅力的な笑顔だった。
「はいっ!」
思わず元気な声で俺は返事をした――
****
トラックへ戻ると氷室先輩が声をかけてきた。
「どうしたんだ? 遅かったな?」
「はい、実はこれを頂いたんです」
トラックに乗り込むと、先輩たちにレジ袋を見せた。
「おおっ!? これはいいな~。栄養ドリンクとドラ焼きじゃないか」
氷室先輩が嬉しそうに笑う。
「ほんとにそうッスね。肉体労働者にはこんな差し仕入れ……嬉しいッスよ。いいですねぇ……美人で気が利く。最高だ。俺の彼女ももう少し気が利けばなぁ……」
野田先輩も嬉しそうだ。
「それじゃ、次の仕事へ行く前に折角の差し入れだ。頂くか?」
「「はい」」
氷室先輩の言葉に俺と野田先輩は返事をした――
****
20時――
「ふぅ~」
1日の仕事が終マンションへと帰って来た。そして何気なく隣のマンションに目をやる。今日、彼女はこのマンションへ越して来たんだ……。彼女の部屋は角部屋で道路沿いからキッチンの窓が見えるようになっている。窓からは明かりがついている様子が良く分かった。
「今日からご近所さんか……」
何となく嬉しい気持ちになりながら、俺はエレベーターホールへ向かった――
「……」
部屋の扉を開けて、明かりをつけると12畳の部屋が目に入る。1人で住むには広すぎる部屋。以前は付き合っていた彼女が何回か遊びに来たことがあったが、別れてからはこの部屋に上がり込んできたのは弟の和也だけだった。
「風呂に入るか……」
疲れた体を引きずるようにバスルームへ向かうと、早速湯を張った。お湯がたまるまでの間に部屋に戻り、替えの部屋着と下着やバスタオルを準備して再びバスルームへ向かうと既にお湯は半分ほど溜まっている。この様子だと髪や身体を洗っているうちにお湯がたまるだろう。俺は早速脱衣所で服を脱ぐと風呂場へ入り、鏡を見た。
「……」
引っ越し業者という肉体労働のせいか、学生時代の頃に比べるとかなり筋肉がついている。以前はジムで身体を鍛えていたが、今は仕事で体を鍛えているようなものだ。
「仕事はきついけど、ジムに行く必要も無いな」
ポツリと呟くと、俺は早速仕事で汚れた髪や体を念入りに洗い始めた――
依頼主の加藤さんの引っ越しの荷物を全て新居のマンションへ移し終えた。先輩たちは先にトラックへ乗り込み、俺は1人マンションに残って作業完了報告書を加藤さんに玄関先で手渡した。
「こちらですべて作業は完了い致しました。こちら報告書になりますのでお渡ししておきますね」
「ありがとうございました」
加藤さんは笑顔で受け取ると、不意に玄関の上に置いてあったレジ袋を手渡してきた。
「あの、これ良かったら皆さんでどうぞ」
「え?」
途惑いながらレジ袋をみると、栄養ドリンクとどら焼きが3人分ずつ入っている。ま、まさか……?
「え!? お客さん……これを俺達にくれるんですか!?」
「はい、お忙しい時期に本当に助かりました。ありがとうございます」
この仕事を始めてから、差し入れを貰ったのは初めてだった。感動してしまった俺は余計な事だと思いつつも、つい言ってしまった。
「実は俺、今年入社1年目なんですよ。お客さんが初めてです。こんな風に差仕入れをくれたの……何か嬉しいです。この仕事に就いて良かったなって今初めて思いましたよ」
じっと自分を見つめて来る加藤さんを意識してしまい、自分でも顔が赤くなっているのが分っていた。
「そうなんですか? 入社1年目って私と一緒ですね。お互い、それぞれの仕事がんばりましょうね?」
加藤さんは笑顔で俺に言う。それは……とても魅力的な笑顔だった。
「はいっ!」
思わず元気な声で俺は返事をした――
****
トラックへ戻ると氷室先輩が声をかけてきた。
「どうしたんだ? 遅かったな?」
「はい、実はこれを頂いたんです」
トラックに乗り込むと、先輩たちにレジ袋を見せた。
「おおっ!? これはいいな~。栄養ドリンクとドラ焼きじゃないか」
氷室先輩が嬉しそうに笑う。
「ほんとにそうッスね。肉体労働者にはこんな差し仕入れ……嬉しいッスよ。いいですねぇ……美人で気が利く。最高だ。俺の彼女ももう少し気が利けばなぁ……」
野田先輩も嬉しそうだ。
「それじゃ、次の仕事へ行く前に折角の差し入れだ。頂くか?」
「「はい」」
氷室先輩の言葉に俺と野田先輩は返事をした――
****
20時――
「ふぅ~」
1日の仕事が終マンションへと帰って来た。そして何気なく隣のマンションに目をやる。今日、彼女はこのマンションへ越して来たんだ……。彼女の部屋は角部屋で道路沿いからキッチンの窓が見えるようになっている。窓からは明かりがついている様子が良く分かった。
「今日からご近所さんか……」
何となく嬉しい気持ちになりながら、俺はエレベーターホールへ向かった――
「……」
部屋の扉を開けて、明かりをつけると12畳の部屋が目に入る。1人で住むには広すぎる部屋。以前は付き合っていた彼女が何回か遊びに来たことがあったが、別れてからはこの部屋に上がり込んできたのは弟の和也だけだった。
「風呂に入るか……」
疲れた体を引きずるようにバスルームへ向かうと、早速湯を張った。お湯がたまるまでの間に部屋に戻り、替えの部屋着と下着やバスタオルを準備して再びバスルームへ向かうと既にお湯は半分ほど溜まっている。この様子だと髪や身体を洗っているうちにお湯がたまるだろう。俺は早速脱衣所で服を脱ぐと風呂場へ入り、鏡を見た。
「……」
引っ越し業者という肉体労働のせいか、学生時代の頃に比べるとかなり筋肉がついている。以前はジムで身体を鍛えていたが、今は仕事で体を鍛えているようなものだ。
「仕事はきついけど、ジムに行く必要も無いな」
ポツリと呟くと、俺は早速仕事で汚れた髪や体を念入りに洗い始めた――