本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 12
2人で電車に乗っている間も加藤さんは元気がなかった。ずっと黙ったままで一言も口を聞かない。
「……あれで良かったのかい?」
我慢できず、つり革の手すりに捕まってボーッとしている加藤さんに声をかけた。
「え? や、やだ。ごめんなさい! 私、ついぼ~っとして…」
慌てた様に俺から視線をそらせた。
「さっきの男誰? 差し支えなければ聞いてもいい?」
こんな事聞いていいかどうか分からなかったが、気になって仕方がなかった。
「あの人は私と同い年の幼馴染なの」
やっぱり……何となくそんな予感がした。2人の間は友達以上、恋人未満に思えた。
「ふ~ん。お姉ちゃんて……」
「私にはね、5歳年上の姉がいて彼は私の姉の恋人だよ」
「え……?」
「昨日、姉と私と亮平でちょっとしたトラブルがあって、その謝罪の意味で亮平は私に今日は奢ってやるから出掛けようって誘われていたんだけど断ったの。だって亮平は姉の恋人だから」
何だ? その話。少なくとも俺の目にはあの男は加藤さんに好意を抱いているように見えた。
「亮平ってさっきの男の名前だよね?」
「うん。そうだよ」
「ひょっとして……好きなの?」
加藤さんの気持ちが知りたくなった。
「え!?」
途端に大きな目が見開かれる。そうか……。やっぱり……。
「いや……いいよ……別に答えなくても。今の加藤さんの様子で分かったから」
そう言ったけど、自分でも思っていた以上にショックを受けていることに気がついた。そして加藤さんは気まずそうにしている。
「楽しみだなぁ~プラネタリウム見るの。一度も行ったことが無いからさ」
その場の雰囲気を取り繕う為に咄嗟に言った。本当はプラネタリウムなんかどうでも良かった。ただ、加藤さんと一緒にいたかったからなんて口が裂けても言えない立場が辛かった。
「川口さん……」
するとちょうどその時、車内に押上駅到着のアナウンスが流れた。
「よし、着いたみたいだ。行こう」
笑顔で加藤さんに言うと、先に電車から降りた――
****
プラネタリウムは思っていた以上に素晴らしかった。大迫力の映像と音楽。まるで自分が宇宙空間にいるような臨場感で、久々に子供のように興奮してしまった。
「あ~楽しかった。映像もすごい迫力だったし、こんなに興奮したのは久しぶりだよ」
会場を出ると、早速加藤さんに感想を述べた。
「そう? そんなに良かった? そこまで喜ばれるとこっちも一緒に来て良かったなって思うよ」
俺と加藤さんはすっかり親しくなっていた。
「ねぇ、この後すぐに帰るのもなんだし、ちょうどお昼の時間帯だからスカイツリーで食事して帰らないか?」
もっと加藤さんといっしょにいたい。
このまま何処にも寄らずに真っ直ぐに帰るのは嫌だった。
「うん。そうだね。3階にフードコートがあるみたいだからそこに行こうか?」
良かった、誘いに応じてくれた。
「よし、決まりだ。なら早速行こう」
そして俺と加藤さんは人が混み合うエレベータホールへ向かっていたのだが……。
「え?」
隣を歩いていたはずの加藤さんの姿が見えなくなっている。この人混みではぐれてしまったのだ。
一体何処に……?
慌てて周囲を見渡すと、後ろの列に加藤さんの姿を発見した。慌てて加藤さんに駆け寄った。
「ごめん加藤さん。はぐれちゃって……」
「ううん。見つかったから大丈夫だよ」
笑顔で答える彼女。
少し迷ったが、俺は加藤さんの左手を繋いだ。
「一緒に行こう」
「え?」
戸惑う加藤さん。
俺はつなぐ手に少しだけ力を込めた――
「……あれで良かったのかい?」
我慢できず、つり革の手すりに捕まってボーッとしている加藤さんに声をかけた。
「え? や、やだ。ごめんなさい! 私、ついぼ~っとして…」
慌てた様に俺から視線をそらせた。
「さっきの男誰? 差し支えなければ聞いてもいい?」
こんな事聞いていいかどうか分からなかったが、気になって仕方がなかった。
「あの人は私と同い年の幼馴染なの」
やっぱり……何となくそんな予感がした。2人の間は友達以上、恋人未満に思えた。
「ふ~ん。お姉ちゃんて……」
「私にはね、5歳年上の姉がいて彼は私の姉の恋人だよ」
「え……?」
「昨日、姉と私と亮平でちょっとしたトラブルがあって、その謝罪の意味で亮平は私に今日は奢ってやるから出掛けようって誘われていたんだけど断ったの。だって亮平は姉の恋人だから」
何だ? その話。少なくとも俺の目にはあの男は加藤さんに好意を抱いているように見えた。
「亮平ってさっきの男の名前だよね?」
「うん。そうだよ」
「ひょっとして……好きなの?」
加藤さんの気持ちが知りたくなった。
「え!?」
途端に大きな目が見開かれる。そうか……。やっぱり……。
「いや……いいよ……別に答えなくても。今の加藤さんの様子で分かったから」
そう言ったけど、自分でも思っていた以上にショックを受けていることに気がついた。そして加藤さんは気まずそうにしている。
「楽しみだなぁ~プラネタリウム見るの。一度も行ったことが無いからさ」
その場の雰囲気を取り繕う為に咄嗟に言った。本当はプラネタリウムなんかどうでも良かった。ただ、加藤さんと一緒にいたかったからなんて口が裂けても言えない立場が辛かった。
「川口さん……」
するとちょうどその時、車内に押上駅到着のアナウンスが流れた。
「よし、着いたみたいだ。行こう」
笑顔で加藤さんに言うと、先に電車から降りた――
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プラネタリウムは思っていた以上に素晴らしかった。大迫力の映像と音楽。まるで自分が宇宙空間にいるような臨場感で、久々に子供のように興奮してしまった。
「あ~楽しかった。映像もすごい迫力だったし、こんなに興奮したのは久しぶりだよ」
会場を出ると、早速加藤さんに感想を述べた。
「そう? そんなに良かった? そこまで喜ばれるとこっちも一緒に来て良かったなって思うよ」
俺と加藤さんはすっかり親しくなっていた。
「ねぇ、この後すぐに帰るのもなんだし、ちょうどお昼の時間帯だからスカイツリーで食事して帰らないか?」
もっと加藤さんといっしょにいたい。
このまま何処にも寄らずに真っ直ぐに帰るのは嫌だった。
「うん。そうだね。3階にフードコートがあるみたいだからそこに行こうか?」
良かった、誘いに応じてくれた。
「よし、決まりだ。なら早速行こう」
そして俺と加藤さんは人が混み合うエレベータホールへ向かっていたのだが……。
「え?」
隣を歩いていたはずの加藤さんの姿が見えなくなっている。この人混みではぐれてしまったのだ。
一体何処に……?
慌てて周囲を見渡すと、後ろの列に加藤さんの姿を発見した。慌てて加藤さんに駆け寄った。
「ごめん加藤さん。はぐれちゃって……」
「ううん。見つかったから大丈夫だよ」
笑顔で答える彼女。
少し迷ったが、俺は加藤さんの左手を繋いだ。
「一緒に行こう」
「え?」
戸惑う加藤さん。
俺はつなぐ手に少しだけ力を込めた――