明日も君といるために
♡ ••昨日の今日•• ♡
「あーあかりー!」
振り返らなくてもわかるこの声。
だけど今はこの声を聞きたくない。
頭の中に昨日のことがフラッシュバックする。
「あっおいあかり、なんで逃げるんだよ。」
走り出した私をたくは追いかけすぐに追いつく。
まぁそりゃそうだ。運動神経も普通の私よりバスケ部に入っているたくの方が足が速いに決まっている。
「あかり、なんで急に走り出したんだよ。」
言えない。昨日のことを思い出して逃げたなんて言えない。
「前はよく一緒に登下校してたのに。」
「それ小学生の時の話!今は高校生!」
「やっと俺の方見てくれた。」
「なっ…///」
よくもそんな恥ずかしいことをサラッと言ってしまうのか。
たくが立ち止まる。だから私も自然に立ち止まる。
時間だけが過ぎていく。
「「あのさ」」
「「あっ」」
「「先いいよ」」
3回もたくとタイミングが重なるなんて。
お互い顔を見合わせ笑った。
「あははっ。まさか3回も重なるなんてね。」
「な。仲がいいにも程があるだろww」
私たちが笑っていたのはどんぐらいだろう。長い気もするし短い気もする。
ふと、笑うのをやめた。2人とも真顔で見つめあって。
「なぁ。」
「えっ?何?」
急に手を掴まれる。
「こく……のか?」
「えっ?ごめん聞こえなかった」
たくが歩き出した。手を掴まれてるから引っ張られるような感じで私も歩き出す。
「えっちょ、さっきなんて言ったの?それに手離して!」
たくは無視して歩く。次第にたくの歩幅に合わせられなくなってほとんど走っている。
「たく他の人に見られてる!」
「大丈夫大丈夫。ここうちの生徒通らないし。」
確かにそうだ。私とたくは家から一時間半くらいかけて学校に通っている。なぜこんなに遠いかというと。私がたくへの気持ちを諦めるためにわざと遠い高校選んだのに、私のお母さんがたくママに私の目指している高校を言ってしまって、それがたくに伝わって結果2人とも同じ高校になったのだ。
「うちの高校の生徒じゃなくても他の人に見られてる。」
「別に見てる人たちはこの時間急いでるから気にしてないよ。」
確かにそうだ。今は通勤通学ラッシュの時間帯。私たちのことを見る余裕もない。
「……学校に遅れる。」
「はっ!そうだった、電車に遅れる!」
やっと離してくれた。多分私今顔真っ赤だ。
たくにばれてなければいいけど……///