ハイスペ上司の好きなひと
こちらの必死さが伝わったのだろう、飛鳥は少し間を置いてため息をつきながら言った。
「分かった、条件を下げる。駅から徒歩15分圏内、オートロックとモニター付きインターホンのあるマンションで、周辺に24時間営業の店がある場所なら目を瞑る」
「あまり下がった気がしないんですが…」
「これが最大限の譲歩だ」
それ以上は全く譲るつもりは無いらしく、紫は力無く椅子に座り込んだ。
そんな条件の家がいい具合に見つかるだろうか。
そもそも何の権利があって口出ししてくるのかそこもいまいち分からない。
分からないが、これまで公私共に散々お世話になった手前偉そうな事も言えないのも事実だ。
後で担当者にメールを出しておこうと思いながら、ため息混じりに箸を取った。
今後のタスクに追われ、その事で頭がいっぱいになっていた紫は自分をジッと見つめてくる飛鳥からの視線に気付くことは無かった。