ハイスペ上司の好きなひと



「あと此処は階層が低い。せめて5階よりは上に住んでくれ」
「……」
「それから此処、駅から20分って遠くないか?帰宅が遅くなる日もあるんだからもっと近くに…」
「……あの、飛鳥さん?」
「なんだ」


まだ何かを言おうとしていた飛鳥の言葉を遮って目が合えば、紫は困ったように眉を下げた。


「えっと…そんなに沢山条件つけられてしまうと選ぶ場所が無くなってしまうんですが…」


既に飛鳥が納得する基準にこの3つは達していない。

あまり物件選びに時間も費やせないし、ある程度の妥協は必要不可欠なのだが。

というかそもそも、何故自分の住む部屋なのに飛鳥の了承が居るのだろうと今更ながらに思った。


「それはそうだが…心配で」
「分かってます。あんな家を選ぶ私が信用ならないのはごもっともだとは思うんですが」
「いやそこまでは思ってないが」
「と、とにかく!引越しまであまり時間が無いので出来るだけ早く決めないといけないんです!」


今は4月も半ば。

これから内見して部屋を決めて、引越しの手配をして家具を揃えて、水道光熱費の手配などもして諸々を整えた上で生活感を出すにはもうあまり時間が無い。

その間仕事だってあるのだ。

最悪の場合でも5月頭のゴールデンウィークまでには決めないとまずい。



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