ハイスペ上司の好きなひと



「こんばんは。お待たせしました」


見知った顔の男2人はこちらに視線を寄越すと久しぶり!と明るく声をかけてくる。


「卒業以来だな、元気だったか?2人とも」
「もちろん。竹内くんも元気そうだね。あと奏斗も」
「俺はオマケか」


言わずもがな卒業して間も無く別れた元彼の奏斗と竹内は大学で同じゼミに所属していた仲間だ。

卒業してからは勤務地がそれぞれ離れているのもあって会うことが無かったが、今回真由菜が精一杯の勇気を振り絞ってこの会を開いたという。

それもこれも、彼女が奏斗に会いたいがために計画した事だ。

2人で会うのはハードルが高いからと、真由菜が許可も無く紫を連れて行くと言い、奏斗がそれに合わせて竹内を誘ったという流れだ。

無論、紫がそれを聞かされたのは先日のメッセージが来た夜で予定が空いていて本当に良かったと思わざるを得ない。


「真由菜、座りなよ」
「…うん」


大分覇気のない真由菜を奏斗の目の前に座らせ、紫は竹内の前に腰掛けた。

その後各々が酒を頼み、適当に料理名を何品か注文して店員が下がったところで竹内に話をふられた。


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