ハイスペ上司の好きなひと
「古賀?」
「…いえ、なんでもありません。Y社の件も課長に対応していただいて解決済みですし」
「ああ、メールで報告あったやつか」
「すみません。私だけでは力不足で課長と主任ににお願いする羽目に…」
「古賀はまだ入社して1年も経ってないだろ。要件を正確に伝えられただけで十分だ」
決して驕っている訳ではなかったが、少しは成長出来ていると思ったけれどまだまだ未熟だと痛感させられた出来事だった。
結局相手方が要求してきたことを聞くだけで精一杯で、課長を通して飛鳥に伝えられそちらで解決してもらったに過ぎず、文字通り自分は何も出来なかった。
もっと勉強して頑張りますと言えば、飛鳥の大きな手が頭に乗せられた。
「言ったろ。古賀は十分頑張ってる」
「……」
「今回は俺が居なかったから仕方ないが、ちゃんと俺を頼れよ」
「はい…」
「あと、家で主任は辞めるように。ここでは君の上司じゃないんだ」
「す、すみませ…」
ついうっかりと顔を上げれば、飛鳥の優しい笑顔があった。
それを目にした瞬間、それまで静かだった心臓が跳ねて嫌でも意識させられた。