ハイスペ上司の好きなひと
頼むから収まってくれと拳を握れば、間も無く頭に置かれた手が離れてホッと胸を撫で下ろした。
「夜遅くに付き合わせてすまなかった。明日は午後からの出社になるがそれまでよろしく頼む」
「は、はい。勿論です」
ゆっくり休んでくださいと言えば、飛鳥はありがとうと礼を言って洗面所へと消えていった。
廊下に1人残され、未だ高鳴る胸を叩きながら落ち着けと念じる。
徐々に芽生えつつあるこの感情をそうしていつまで見て見ぬふりを続けられるのか…どうしても、自信を持つ事が出来なかった。