【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。


 烏丸さんの名前を呼ぶと、烏丸さんは私に「豊佳、今夜は俺で頭いっぱいにしてやるから……覚悟しろよ」と耳元で囁いた。

「ひ、翡翠さんっ……」

「豊佳……今日は豊佳を俺のものにするから」

 烏丸さんからの熱いキスを受け、私は烏丸さんとベッドの中で熱く身体を重ね合った。
 烏丸さんは何度も「豊佳」と名前を呼んでくれた。 何度も私の手をギュッと握ってくれて、甘いキスを落としてくれた。
 
「豊佳、俺でいっぱいになった?」

「……はい。 いっぱいに、なりました」

 烏丸さんで身体も心もいっぱいにされた私は、烏丸さんに抱きしめられながら、その日は眠りについた。


* * *


「ん……。ん……?」

 翌朝目が覚めると、隣で烏丸さんが私を見つめていた。

「おはよう、豊佳」

「お……おはようございます」

 私の髪の毛を優しく撫でる烏丸さんは、「よく眠れた?」と聞いてくるから、私は「はい……まあ」と答えた。

「……ん、良かった。よく眠れたか」

「あの……烏丸さん」

「あ、名前で呼んでって言っただろ?」

 昨日は何度「翡翠さん」と呼んだだろうか。 ベッドの中で烏丸さんに抱かれながら、幾度となく幸せだと感じてしまった。
 烏丸さんが優しく、だけど時に熱く激しく抱いてくれれたから、私はずっと烏丸さんのことでいっぱいになっていた。

「翡翠さん……」

「ん? なに?豊佳」

 私は「私……今、幸せかも」と伝えると、翡翠さんも「俺も幸せだよ」と微笑んでいた。
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