仄かに香るメロウ

そして大学病院をあとにしたわたしたちは、行きつけのラーメン屋"雅"に向かった。

店内はお昼時を過ぎたとはいえ、まだまだお客さんがいた。

わたしたちはカウンター席に座り、藍は味噌ラーメン、わたしは当然醤油ラーメンを注文した。

「瑠衣、フォーク頼もうか?」
「ううん、今日はまだ手の調子良い方だから箸で大丈夫。」

わたしは指が変形している為、痛みがある時は特に箸を使うのに苦労する時がある。

そうゆう時はフォークを使うのだが、やはりラーメンは箸で食べたい為、指の調子が良い時は箸を使う練習をしたりするのだ。

「はい、お待たせ致しました!味噌ラーメンと醤油ラーメンです!」

運ばれてきたラーメンを見て、笑みが溢れ、つい小さく拍手をしてしまう。

「それでは、ごゆっくりどうぞ。」

店員さんが去って行くと、藍は箸を2膳取り、その内の1膳をわたしに渡す。

わたしはそれを受け取ると、箸を割り、「いただきまーす!」と手を合わせた。

「やっぱりラーメンは醤油だよね〜!」

わたしがそう言うと、藍は「味噌も美味いぞ。」と言う。

しかし、わたしの中では醤油ラーメンが1位なのだ。

「わたしは、醤油ラーメンが好きなの!」

そう言って、ラーメンを啜ると口の中に幸せが広がる。

「ん〜、美味しい!」

わたしがそう言うと、藍はわたしを見て表情を綻ばせ、「本当に美味そうに食べるな。」と言った。

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