私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~
 枕カバーとシーツを取り替え、洗濯機のスイッチオン。床掃除はロボットに任せ、夕方帰ってきてから夕食の準備。帰る途中に買い物、と頭の中で計画を立てる。

 冷蔵庫の食材はと考えながらサンダルを脱ぐと、鍵穴を回す音がしてドアが開いた。

 振り返ると、主真が顔を出した。

「忘れ物ですか?」と聞いたが、主真は中には入ってこない。

「言い忘れた。今夜、出かけないか?」

「はい。わかりました。――えっと、フォーマルですか?」

 これまでも何度か一緒に出掛けている。

 レセプションとか、医師会関係のパーティーとか夫婦で出席する必要があれば、沙月も一緒に行く。

 今日はどんな集まりなのか。服装によっては美容院にもいかなきゃいけない。

「いや、そうじゃないんだ」

「えっ?」

 主真は照れたように苦笑する。

「先月退院した患者がレストランを再開したらしくて、是非にと誘われたんだ。今夜、急患がなければ早く帰ってこれると思う。弁当の礼と言ってはなんだが、どうかな?」

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