日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。

 影達と別れ、王城の地下にある自室へと急いだ。懐かしい自室を勢いよく開けて入っていくと、そこにはシャルルが準備したドレスが飾られていた。

「アメリア様、お待ちしておりました」

 一礼するシャルルに向かって頷くと、そのまま浴室へと向かう。そこでアメリアは乱暴に着ていた服を脱ぎ捨てると、シャワーを軽く浴び、湯船に沈む。香油の入れられた湯船に体を沈めて数分、ザバンッと音を立て湯船から出ると、体の水分を魔法で一気に飛ばした。ここまでの時間、僅か5分。これでも長く湯船に浸かった方だ。貴族の令嬢ならたっぷりのお湯に、これでもかと長い時間浸かり、マッサージなどを施されるのだろうが、アメリアは違う。影として生きてきたアメリアは、湯船に入る時間は数秒だ。アメリア達影にとって、湯浴は無防備になる瞬間なのだ。武器の無い状態で襲われては不利になる。そのため、影達の入浴時間は恐ろしく短い。それが分かっているシャルルは、風呂から出てきたアメリアを出迎え、すぐに準備に取りかかる。そこからは目にもとまらぬ早さで、アメリアにドレスを着せると、髪をセットし、化粧を施していく。本来この作業は侍女数名で行うと聞く、公爵家など地位の高いご令嬢には侍女が10人付くと聞いたことがある。そんな作業をシャルルは全て一人で行う。それも物凄いスピードで仕上げていき、気づいた時には全てが終わっていた。

 時間にして30分ほどだろうか?




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