拳から恋
どうしてくれよう。
撒くのもアリ、だけど他校でも何か情報を聞ける可能性はあるんだから、そっちに賭けてみようか。
付けてきた奴らに向いたまま後退り、わたしは怖がるような素振りをしてから、地面を蹴った。
目的地は高架下の広場。
こんな住宅街で騒がれては、たまったもんじゃない。
高架下なら、騒ぐ声も電車の音で緩和するはずだ。
おっと……さっきした小さな後悔をしないために、学ランのボタンは開けておかないとねっ。
可動域さえ広げておければあんな人数、お茶の子さいさいなんだから。