Summer Love
第一章
始まりは
「まだ粘るのか?」
「もちろん!!」
「もう無理だ」
ピシャリと言い放つ。
「勝ち目はないぞ?
続けて何になるってんだ」
容赦ないことは、理解してる。
だが世の中はっきり断言しなければ、相手のためになるものか。
「いいかげん、諦めてくれよ」
孕んだ風が、足元を掠める。
「もう売り上げ、上がらないんだろ?」
意表を突かれたように、サラサラとした電子音が鳴り響く。
「海辺の近くのお洒落商店街に客を取られてるのを見てるだろ?
立て直せるわけない。
引き揚げよう。
な?」
「でも……まだ、貯金はあるから、夫の為に続けたいの。
時間をちょうだい!!」
ライターをあぶる。
煙をわざと吐き出した事を、綾子は知らないんだろう。
母親である、「柊綾子」は一回決めたことは、絶対に曲げない。
実家である海の家「クローバー」。
お父さんが亡くなった故に、綾子は存続に執着していて。
店を閉めようとしないのだ。
「思い出が詰まった大切な、家」という安易な理由で。
逆に借金までして追い込まれる営業までするか、普通?
「だから、手伝ってほしいって事よ」
「手伝う?」
「ほらほら、人手呼ぶにもお金がかかるのよ。
そこのところお願いよー。
高校教師つっても、有給ぐらい出るでしょ?」
サッカー部の輩が目の前を走ってきた。
裏校舎なのに、集団練習をしてる。
顧問がルートを変えたのだろうか。